【会員の広場『希望』】第109号 6/8

2021.12.20
第109号 6/8


わたしとiPhone
米田かおり
わたしがiPhoneを使うようになって、もうすぐ5年が経とうとしています。iPhoneを買うにあたっては、当時すごく悩んだことを今でも覚えています。なぜかと言うと、iPhoneにはほとんどボタンはなく、画面を指でタッチしたりスライドするなどして、操作を行わないといけないのだということを聞いていたからでした。不器用なわたしが、上手に指を動かして操作できるとは思えなかったので、操作ミスで間違い電話をかけてしまったり、必要のない物を間違えて買ってしまったら大変だなあと思っていたのでした。
そんな時、視障協で、iPhoneの体験会があることを知り、参加してみることにしました。そこではまず、iPhoneにはボイスオーバーと言う、視覚障害者が使いやすくするために考えられたモードがあり、それをオンにすることで、画面上の文字を読み上げてくれるようになったり、操作面でも、普通のモードでは1回画面にタッチすれば有効になるところを、このモードでは2回タッチしないと有効にならないので、間違えがおこりにくいように工夫されていることを知りました。次に、実際にiPhoneを使って、どのように指を動かすのかや、文字入力の方法などを教えていただきました。予想していた通り、操作はやはり、わたしにはなかなか難しいもので、これはかなり練習が必要だなあと感じました。最後に、実際にiPhoneを使って良かったことや、視覚障害者が使うと便利なアプリなども紹介していただき、大変そうだけど使えるようになったらすごく楽しそうだなあと思うようになりました。
講師の方に、「わたしでも使えるようになりますかねえ?操作ミスをしそうで不安なんですけど。」と相談すると、「それならまずは、iPod touchを購入して、指を動かすタッチ操作の練習をして、慣れてきたら、iPhoneを購入してはどうですか?」とアドバイスをしてくださいました。iPod touchは、簡単に説明すると、iPhoneの電話機能の付いていない物とのことで、家にWi-Fiがあれば使えるとのことだったので、わたしは、さっそく購入しました。指を動かすジェスチャー練習は、『使い方教室』というアプリを紹介していただき、時間の空いた時には、何度も練習をしました。
はじめは、どうなることかと思っていましたが、そのうち指の動かし方のこつが掴めてきて、文字入力もゆっくりですができるようになっていきました。これならなんとかなりそうと、ついにiPhoneを購入し、使い始めることができたのです。はじめのうちは、メールやラインをしたり、通話をするので精一杯でしたが、今ではニュースを読んだり、わからない言葉や漢字を調べたり、音楽やラジオを聴いたり、外食をする前には、そのお店のメニューを調べたりと、いろんなことができるようになりました。操作で分からないことがあった時には、使っている友達や、先輩に訪ねると、丁寧に教えてくださったことも、とてもありがたかったです。まだ使ってみたいアプリがたくさんあるので、これからも楽しみです。
今、iPhoneを購入しようかどうか悩んでおられる方がいらっしゃったら、ぜひ思い切ってチャレンジしてみてください。きっと、楽しいことが増えたり、生活が便利になりますよ。

【会員の広場『希望』】第109号 7/8

2021.12.20
第109号 7/8

小学校での講話はびっくり!ドッキリ!
清水和行
 私は時々小学校から講話を頼まれることがあります。ほとんどが社会福祉協議会の「やさしさ発見プログラム事業」によるものです。この事業は学校や地域、団体、企業等で行なわれる福祉教育を、生涯学習の位置づけとして実施しているものです。ネットで調べたら合言葉は「体験!発見!!ほっとけん!!!」だそうです。ちょっと「おしい!広島市社協」かな?
 私が講話する学年は、ほとんどが小学三年生です。一昨年まで三年生の国語の教科書(東京書籍)に「もうどう犬の訓練」という教材があったからだと思います。教科書が変わった今でも、三年生の総合的な学習の時間などを使って、私のような盲導犬使用者を講師として招聘していただいているのです。
 担任の先生からは、「盲導犬のことについて話してください」というリクエスト。もちろん盲導犬については、実演を交えてしっかりお話します。盲導犬の理解が進むことは、私たち盲導犬ユーザーにとって何よりありがたいことですから。しかし、それだけで終ったのでは大変もったいないことです。白杖や手引きについても、実演を交えて、これもしっかりお話します。私が本当に理解してほしいのは、盲導犬というよりも、むしろ目の見えない、見えにくい人に対する理解ですから。
 この辺りから子供たちの反応がおもしろくなってきます。「みんなが目が見えなかったら、盲導犬と白杖と手引きとどれが良い?」と子供たちに尋ねます。一番人気はダントツで盲導犬。白杖や手引きは数えるほどです。白杖よりも盲導犬の方が安全性で優れているので、白杖が少ないのは予想できます。しかし、手引きが少ないのは、なんとも不思議な結果です。第一、私を上手にステージ上まで手引きしてくださった担任の先生に申しわけありません。盲導犬が、「カム」と命令したら私のところへ来るだけで拍手が起こるのに。(笑)盲導犬のスーパードッグバイアスがかかっているのでしょうね。
ここでお話が終っては、私が講話した意味がありません。盲導犬にはできないことが手引きの人にはなんと簡単にできてしまうことか。盲導犬は会話できないし、文字も読めないし、信号機の色さえ分からないのです。冷静に考えれば人による手引きの方が圧倒的に優れているのです。盲導犬が手引きより優れていることは、24時間いつでも私の傍にいて、いつでもお出かけに付き合ってくれることです。そして、口が堅いこと。私の行動を決して妻には告げ口しませんから。(笑)
私は盲導犬のお話をしながら、さりげなく残り時間を告げたり、コップにお茶をついで飲んだり、白杖で歩きながら杖で触れたものの音について解説したりします。盲導犬に餌や水を与えたり、排泄物の処理をしたり、シャンプーや歯磨きをしたり、遊んであげたりと、白杖使用者では必要ない盲導犬のお世話をしていることも話します。「盲導犬ができることは限られているみたいだし、でも、このオジサンは、なんかいろいろなことをしているようだし、毎日どうやって生活しているんだろう?」なんてことを子供たちに考えてもらえれば、私のお話の意味があるというものです。
 いよいよ最後の質問コーナー。子供たちからいろいろな質問が飛び出します。盲導犬についての質問はもちろんあります。でも、どっきり!びっくり!の質問は、盲導犬以外のこと。
「おじさんは、どうやってお風呂に入るのですか?」という質問に、私は逆質問をします。「あなたは、どうやってお風呂に入るの?」「私は、一人で入ります。」「そうか。おじさんは、一人でお風呂に入らないと思ったんだね。おじさんは、一人でお風呂に入るよ。あなたは頭を洗うとき、頭の汚れを目で見て洗うかな?そんなこと、ないよね。体を洗うのに目はいらないんだよ。だから、おじさんの家では、おじさんは一人で入るんだ。でもね、温泉は一人で入れないかもしれないね。どこになにがあるか分からないからね。」
 他にもいろいろなびっくり!ドッキリ!の質問が飛び出します。「おじさんは、どうやって服を着るのですか?」「おじさんは、どうやってご飯を食べるのですか?」「おじさんは、どうやって買い物するのですか?」「おじさんは、なんで眼鏡をかけているのですか?」時には「おじさんは、どうやって車の運転をするのですか?」なんて質問もあります。「そうだね。今はできないけど、何年かしたら、おじさんの運転できる車ができるかもしれないね。あなたが大人になったら、作ってくれると嬉しいな。」なんて答えることもあります。このびっくり!ドッキリ!の質問タイムが一番楽しい時間です。担任の先生はどきどきのようですけど。(笑)「清水さん、失礼な質問があり、申しわけありませんでした。」「いえ、子供たちの質問で失礼なものは、これまで一度もありませんでしたよ。」本当にそう思います。
 今、日本テレビ系列の連続ドラマで「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」が放映されています。盲学校に通う弱視の女子高生が主人公のラブコメです。みなさんの中にもご覧になっている方も多いのではないでしょうか。ストーリーそのものも楽しいものですが、ドラマの中で、視覚障害者に対する理解を深めるための工夫がうまく組み込まれています。私もこのドラマのようにはいきませんが、盲導犬を入り口に、視覚障害者に対する理解を深めるための講話を、私のライフワークとしてこつこつがんばって行きたいと思います。この子供たちが20年後、30年後の日本を作ってくれるのですから。

【会員の広場『希望』】第109号 8/8

2021.12.20
第109号 8/8


編集後記
朝晩一段と寒くなり、早朝の気温が一桁台になってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウイルスの状況も、どんどん変化してきており以前とは違う生活スタイルになってきました。
今回も皆様のご協力により、7名の方からご投稿いただき、会員の広場「希望」109号を発行する事が出来ました。
原稿を投稿された皆様、大変有難うございました。
視障協では、一年に一度どなたでも、ご意見・ご要望・体験談・詩・エッセイ等、どんな内容でも構いませんので、投稿をお待ちしております。宜しくお願い致します。
(視障協 文化部  藤谷順子)

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