第109号 6/8


わたしとiPhone
米田かおり
わたしがiPhoneを使うようになって、もうすぐ5年が経とうとしています。iPhoneを買うにあたっては、当時すごく悩んだことを今でも覚えています。なぜかと言うと、iPhoneにはほとんどボタンはなく、画面を指でタッチしたりスライドするなどして、操作を行わないといけないのだということを聞いていたからでした。不器用なわたしが、上手に指を動かして操作できるとは思えなかったので、操作ミスで間違い電話をかけてしまったり、必要のない物を間違えて買ってしまったら大変だなあと思っていたのでした。
そんな時、視障協で、iPhoneの体験会があることを知り、参加してみることにしました。そこではまず、iPhoneにはボイスオーバーと言う、視覚障害者が使いやすくするために考えられたモードがあり、それをオンにすることで、画面上の文字を読み上げてくれるようになったり、操作面でも、普通のモードでは1回画面にタッチすれば有効になるところを、このモードでは2回タッチしないと有効にならないので、間違えがおこりにくいように工夫されていることを知りました。次に、実際にiPhoneを使って、どのように指を動かすのかや、文字入力の方法などを教えていただきました。予想していた通り、操作はやはり、わたしにはなかなか難しいもので、これはかなり練習が必要だなあと感じました。最後に、実際にiPhoneを使って良かったことや、視覚障害者が使うと便利なアプリなども紹介していただき、大変そうだけど使えるようになったらすごく楽しそうだなあと思うようになりました。
講師の方に、「わたしでも使えるようになりますかねえ?操作ミスをしそうで不安なんですけど。」と相談すると、「それならまずは、iPod touchを購入して、指を動かすタッチ操作の練習をして、慣れてきたら、iPhoneを購入してはどうですか?」とアドバイスをしてくださいました。iPod touchは、簡単に説明すると、iPhoneの電話機能の付いていない物とのことで、家にWi-Fiがあれば使えるとのことだったので、わたしは、さっそく購入しました。指を動かすジェスチャー練習は、『使い方教室』というアプリを紹介していただき、時間の空いた時には、何度も練習をしました。
はじめは、どうなることかと思っていましたが、そのうち指の動かし方のこつが掴めてきて、文字入力もゆっくりですができるようになっていきました。これならなんとかなりそうと、ついにiPhoneを購入し、使い始めることができたのです。はじめのうちは、メールやラインをしたり、通話をするので精一杯でしたが、今ではニュースを読んだり、わからない言葉や漢字を調べたり、音楽やラジオを聴いたり、外食をする前には、そのお店のメニューを調べたりと、いろんなことができるようになりました。操作で分からないことがあった時には、使っている友達や、先輩に訪ねると、丁寧に教えてくださったことも、とてもありがたかったです。まだ使ってみたいアプリがたくさんあるので、これからも楽しみです。
今、iPhoneを購入しようかどうか悩んでおられる方がいらっしゃったら、ぜひ思い切ってチャレンジしてみてください。きっと、楽しいことが増えたり、生活が便利になりますよ。