第70回日本視覚障害者団体連合中国ブロック視覚障害者福祉大会(広島市大会)
大会宣言


水と緑の国際平和文化都市、ここ広島市に中国地区各地より、視覚障害者の代表が相集い、コロナ禍の中、第70回日本視覚障害者団体連合中国ブロック視覚障害者福祉大会を開催できることは、主催者として喜びに堪えません。視覚障害者が社会参加と社会的自立のために当面する諸課題について討議を重ね研修を深めることは、大変意義深いものがあります。
本大会の開催にあたり広島県、広島市をはじめ各関係団体、ボランティアの皆様にご支援をいただいたことに深く感謝いたします。
2019年12月1日、中国の武漢より始まった新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界中に蔓延し、わが国に2020年1月3日に最初の感染者が確認されて以来、現在では第7波となり、いまだ終息の気配がうかがえません。このため、昨年は中国ブロック大会を行うことができず、本年は会場とZoomのハイブリット形式での開催となりました。
新型コロナ感染症は、視覚障害者の生活にも大きな影響を与え、特に3密(密閉、密集、密接)の回避のうち、「密接」の回避の影響は大きく、社会は人と人との接触に敏感となり、そのことに対する寛容さが希薄になってしまった印象があります。例えば、同行援護による移動に伴う支援者の減少、単独での外出による危険回避のための声掛けサポートの減少、患者に直接触れて施術する、あはき業の患者数の減少など個々の活動を苦境に貶めています。
2021年5月、障害者への合理的配慮の提供を民間の事業者にも義務付ける、障害者差別解消法の改正法が成立しました。しかし、これに違反した場合の罰則規定は設けられていません。私たちは理解促進のための普及啓発に取り組むとともに差別のない社会を目指して、行政などにも働きかけていく必要があります。
一方、2019年6月には「読書バリアフリー法」が成立しました。
読書は、教養や娯楽を得る手段のみならず、教育や就労を支える重要な活動であり、障害の有無にかかわらず全ての国民が読書できる環境を整備していくことが必要です。しかし、現実には、視覚障害者が利用可能な書籍等はいまだ少なく、図書館におけるサポートも十分ではありません。本法律は、障害の有無にかかわらず、すべての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に向けて、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進するものです。
しかしながら、その施策においてインターネットを利用したサービス提供体制の強化、特定書籍・特定電子書籍等の制作支援、アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進など、どのように進めていくかが課題となっています。視覚障害者等自らが本法律をよく理解し、それぞれ課題を持ち寄り、話し合い、一般化して、行政に働きかけ、法律を使い勝手の良いものに変えていく努力も必要だと思われます。
また、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第19条の最高裁判決が本年2月にだされ、「今なお、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師の分野においては視覚障害者の就業を保護する必要があり、そのためには晴眼者のためのあん摩マッサージ指圧師の養成課程の新設を制限することを定めた、あん摩師等法19条は憲法22条に反しない」と判示しました。わが国においては、現在でもあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師のうち晴眼者が8割を越える実情があり、この判決は視覚障害者の職業的自立のためには大変意義深いものがあります。
今後も多くの視覚障害者があん摩マッサージ指圧師という職業によって経済的に自立し、社会に貢献できるよう努力していく必要があります。また、一方では、視覚障害者の職業選択の自由と職域の拡大を進めていかなければならないという時代の課題にも直面しています。
私たちは、このような新たな法制度の進展に対応し、福祉の向上と共生社会の実現のため、視覚障害者はもとより全ての障害者が一致団結して、諸課題の解決に向かって積極的に行動することを、ここに宣言します。
令和4(2022)年9月11日

第70回日本視覚障害者団体連合中国ブロック視覚障害者福祉大会
大会決議


一. 公的・民間でのバリアフリー化にユニボイスコード普及を要望する。
一.視覚障害者が必要とする全ての交差点への、音響式信号機、エスコートゾーン及び誘導用ブロックの設置を要望する。
一.音響式信号機に、夜間・早朝の音響が止まる時間帯を補う「高度化PICS(歩行者等支援情報システム)」の併設を要望する。
一.各市における養護盲老人ホームへの入所措置控えの解消を要望する。
一.雇用主が独自に行う視覚障害者への通勤支援に対して国・自治体はその費用等を助成することを要望する。
一.同行援護事業などサービスが継続的に受けられるよう報酬単価の引き上げを要望する。
一.補装具や日常生活用具の基準額(費用・補助額負担)を適切な引き上げを要望する。
一.セルフレジは、政策や設置について視覚障害者が無理なく使用できるように配慮していただけるよう要望する。
一.視覚障害者が、スマートフォンが使いこなせるようになるまで講習が受けられる体制作りを要望する。
一.入院時のヘルパー利用について、その制限を撤廃するよう要望する。
一.自治体や民間でのヘルスキーパー雇用の促進を要望する。
一.商品についているQRコード並びにバーコードを視覚障害者が指先で触れて位置を確認できるような印(しるし)をつけて頂くよう要望する。
一.マッサージに従事する視覚障害者が増加しているが、マッサージの保険診療の施術料が余りにも低い。マッサージの保険点数の大幅な引き上げを要望する。
令和4(2022)年9月11日
第70回日本視覚障害者団体連合中国ブロック視覚障害者福祉大会